研究概要 |
1.マウス精細胞を抗原として得られた単クロ-ン抗体は熱ショック蛋白を認識し,免疫ブロット法と蛍光抗体法の結果,精子形成後期で熱ショック蛋白は合成しているらしい。(Maekawaら1989)。 2.細胞骨格性アクチンmRNAは精子形成の特別な時期に強く発現することがわかった。これは精子細胞が伸長する時である。クロマトイド体とmRNAの密接な関係が考えられる。(Sakiyamaら1991) 3.セルトリ細胞,精巣上体上皮細胞の結合装置の立体構造に新しい所見を得た。(Suzuki,Nagano.1991) 4.アクチン細系の分布をセルトリ細胞,筋様細胞,白膜等に於て,共焦点レ-ザ-でしらべた。とくに筋様細胞ではアクチン細系の束が特別に配列していた。すなわち1個の筋様細胞内で直交して束が認められ,1細胞で両方向の収縮が考えられる。(Maekawaら1991)。 5.これに関連して,麻酔下で精細管,精巣上体管を露出し,その自発運動をビデオに記録し,管内の圧力の変化を測定した。精細管では,おそらく筋様細胞に一致して局所的収縮がみとめられ,精巣上体尾部ではゼン動運動がみられた。この実験は経続中。 6.精子の受精の際,局所的膜の変化があるが,膜ステロ-ルの局在をフィピン処理凍結レプリカをしらべて,ステロ-ル分布の移動,局在をしらべた(SuzukiとYanagimachi,1989,Sekiら1992)。
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