研究概要 |
(1)永津俊治研究グル-プは、ヒトのチロシン水酸化酵素(TH)の4種のcDNAをクロ-ニングして多型性を立証し、塩基配列により一次構造を決定して、タイプ1,2,3,4と命名した。(Kaneda et al.,B.B.R.C.,1987)そしてヒトTHタイプー1cDNAがラットTHcDNAと相同であることが明らかになった。この5'上流側共通部分のヒトTHタイプー1cDNAをプロ-ブ(2)として、また3'下流側のヒトに特異的なタイプー4cDNAをプロ-ブ(1)として、in situ hybridization(ISH)に用いた。^<35>Sーlabeled cDNA法で、マウスの中脳腹側被蓋野(VTA)や黒質(SN)に種属共通のプロ-ブ(2)の発現を認めたが、ヒトに特異的なプロ-ブ(1)は発現しなかった(準備中)。 (2)ヒトTHの14エクソンと13イントロンからなる遺伝子を、マウスの受精卵に注入してトランスジェニックマウスを作成したところ、共通プロ-ブ(2)とともに、ヒトに特異的なプロ-ブ(1)に対してもVTAやSNに発現することをISHで認めた(文献6)。 (3)THから芳香族Lーアミノ酸脱炭酸酵素(AADC),ド-パミンーΒー水酸化酵素(DBH),フェニ-ルエタノ-ルアミンーNーメチル基転移酵素(PNMT)をもつカテコ-ルアミン(CA)系の細胞の他に、THのみをもち、AADC,DBH,PNMT,ド-パミン(DA),セロトニン(5ーHT)をもたない細胞を認めた。即ち、マウス胎生16日より前嗅核領域にvaricose fibersをもったTH免疫陽性細胞を発見し、光顕,電顕で検索した。生後9ー12日まで増数し、以後4ー5週までに消失した(文献3)。PNMTのみをもち、TH,AADC,DBH,DA,5ーHTをもたない細胞も認めた。即ち、マウスの生後10日頃よりPNMT免疫陽性細胞が前嗅核に多数出現して成獣まで存在した。更に電顕でシナプス構造の存在を認めた(文献1)。その他、線条体にも一過性のTHやPNMT免疫陽性ニュ-ロンの出現を認めた(文献5)。 (4)更に、DBHの3種のオリゴヌクレオチドに対する特異抗体を作成した(文献4)。
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