研究課題/領域番号 |
01570064
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
池中 一裕 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教授 (00144527)
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研究分担者 |
相本 三郎 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (80029967)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1990年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1989年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | MCDペプチド / 海馬 / 長期増強 / カリウムチャンネル / GTP結合蛋白 / 長期増強効果 / ペプチド合成 / NMDAチャネル |
研究概要 |
MCDペプチドは4個のCys残基を含み、分子内で2個のSーS結合を形成しているペプチドで長期増強(LTP)様の現象を引き起こす。我々は、4個のCys側鎖に対して、2種類の保護基を導入し、空気酸化及びヨ-ド酸化の2段階の操作によってSーS結合を選択的に生成させ全合成に成功した。海馬スライス切片にMCDペプチド(1μM)を投与し、CA1錐体細胞の集合電位振幅増加を継時的に測定した。MCDペプチドを5分間投与後、4分後にはresponseが漸増していき約15分で反応はplateauに達し、それが40分以上持続した。以上の結果から、化学合成したMCDペプチドは天然のハチ毒から精製したものと同様にLTP誘発活性を有することが明らかとなった。LTPは高頻度の電気刺激(テタヌス刺激)によっても誘導されることが知られているが、MCDによる誘導と機構上差があるかどうか検討した。テタヌス刺激で誘導されるLTPは、グルタミン酸のレセプタ-の一種であるNMDAレセプタ-のブロッカ-でその誘導が阻害されることが知られている。しかし、MCD投与時にNMDAブロッカ-であるAP5やMK801を加えてもLTP誘導は抑制されなかった。MCDは脳内のある種のKーチャンネルと結合することが知られているが、われわれは今回MCDにはこの他にも肥満細胞においてGTP結合蛋白の活性化させること、またそのものでイオンチャンネルを形成する能力が存在することを見いだした。さらに、MCDの誘導体や類似のペプチドを調整し、どの活性がLTP誘導能に最も深く関与しているのかを検討した。MCDと同じくハチ毒であるアパミンはやはりそのもの自身でイオンチャンネル形成能を有した。またMCDの全構成アミノ酸をD体に置換した光学異性体はGTP結合蛋白を活性化したが、これらの物質はLTPを誘導しなかった。へび毒デンドロトキシンはMCDと同じ脳内結合部位と結合し、かつLTPを誘導することができた。以上の結果はMCDの種々の活性のうち、脳内高親和性結合部位であるKーチャンネルへの結合がLTP誘導に必須であることを示している。しかし、LTPを誘導する全ての物質はGTP結合蛋白を活性化したのでGTP結合蛋白の活性化がLTP誘導に不要かどうか明かにすることはできなかった。
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