研究課題/領域番号 |
01570071
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
小松 由紀夫 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (90135343)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 長期増強 / 視覚野 / 可塑性 / ノルアドレナリン |
研究概要 |
1.大脳皮質視覚野の長期増強に対するNoradrenaline(NA)の影響を長期増強が最も発現しやすい生後4〜5週の仔ネコより得られた切片標本において調べた。白質の試験刺激によって誘発される電場電位の電流源密度解析を行い、sinkから興奮性シナプス電流の大きさを求めた。条件刺激(2Hz、15分間)を与える前と後のsinkの大きさの比から各層での長期増強の大きさを決めた。 2.コントロ-ル液では条件刺激を与えてもIV層やVI層の早い電流はほとんど変化せず、II-III層とV層の遅い電流がわずかに増大するだけであった。(1.3倍)。NA(30μM)やβアゴニストのIsopreterenol(2.5μM)を潅流液に加えると、II-III層とV層の遅い電流の増強が促進され、II-III層では1.6倍に、V層では1.9倍となった。しかし、IV層とVI層の早い電流には増強は見られなかった。 3.GABA抑制をBicucullineで抑えると全層で長期増強の発現が促進された。IV層のVI層の早い電流は共に1.7倍に、II-III層の遅い電流は1.8倍に、そしてV層の遅い電流は1.7倍となった。この条件でβアンタゴニストのTimolol(20μM)を加えると、遅い電流の増強は小さくなり、II-III層で1.5倍、V層で1.1倍となった。これに対して、IV層とVI層の早い電流の増強は全く影響を受けず、IV層で1.8倍、VI層で1.6倍であった。 4.IV層とVI層の早い電流は外側膝状体細胞から視覚野細胞へのシナプス伝達により生じ、II-III層とV層の遅い電流は皮質細胞間のシナプス伝達により生じている。従って、以上の結果からNAはβリセプタ-を介してII-III層とV層での皮質細胞間のシナプス伝達の長期増強の発現を促進すると論される。しかし、外側膝状体細胞から皮質細胞へのシナプス伝達の長期増強には全く関与していないと思われる。
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