研究概要 |
第1群抗不整脈薬はa,b,c,の3亜群に分類され臨床的に使用される場合の薬物選択の基準ともなっている。しかしその分類に作用機構に基づいた合理的且つ定量的な基準はまだ存在しない。申請者らは本年度20μM mexiletine,5μM flecainide,100μM QX222及び20μM quinidineに関しモルモット乳頭筋標本において外液K^+(2.7及び10mM)Tyrode液中に活動電位を測定しそのV_<max>(Na電流の指標である)抑制の頻度依存性(0.0167ないし4Hzの内の6-9点)を検討した。オリンパス高級実体顕微鏡は標本分離および電極挿入時に、また三次元油圧マイクロマニプレ-タは電極挿入に使用した。これらの結果は昨年3月“抗不整脈薬に関する国際シンポジュウム(名古屋)"において発表した正常Tyrode液中の1mM nicorandil(膜電位、V_<max>に影響することなく活動電位幅のみを短縮する)の存在及び非存在下の上記抗不整脈薬の結果と併せて考察し同シンポジウム発表のモデルよりも更に高度な二つのモデル(Na channelの開、閉、不活性化状態に応じて^<1)>各抗不整脈薬の親和性が変化する(モジュ-レイテットレセプタ-仮説)および^<2)>その易接近性が変化する(ガ-デッドレセプタ-仮説);何れも開(m)および不活性化(h)blocked channelの形成および膜電位に関する連立微分方程式を数値解により求める)についてコンピュ-タ-シミュレ-ションを行ない一応の最適解を得た。これにより膜電位変化時の各薬物作用態度の違いを各状態における解離定数の違いとして定義できる。これらの計算は実験値と計算値の二乗誤差を最小にする解を直接探索法により求めるもので一回の計算に数分〜数10分を要しこれを数100回反復する。これらが真の最適解か或は見かけのもの(局処的最小値)かの判定にはなお慎重な検討を必要とすることが明らかとなったので現在さらに追加計算を行なっている。終了次第発表の予定である。
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