研究課題/領域番号 |
01570107
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊東 祐之 九州大学, 医学部, 助教授 (80037506)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | VIP / 抗-VIP-抗体 / VIP拮抗剤 / 迷走神経 / 気管 / e.j.p. |
研究概要 |
イヌ及びネコ気管平滑筋組織における興奮性効果器伝達と平滑筋細胞に及ぼすVasoactive intestinal polgpeptide(VIP)、抗-VIP-抗体及び二種類のVIP拮抗剤の効果を、収縮記録法、微小電極法及び二重〓糖隔絶法を用いて観察した。VIPはイヌ及びネコ気管平滑筋のコリン作働性神経の電気刺激によって発生する収縮を10^<-11>M以上の濃度で用量依存性に抑制した。VIPは10^<-9>Mの濃度まで気管平滑筋細胞の静止膜電位、膜実効抵抗に効果を示さなかったが、10^<-8>M以上の濃度で膜過分極と膜実効抵抗の減少をもたらした。VIPは10^<-11>M以上の濃度でe.j.p.の大きさを用量依存性に抑制した。低頻度(0.033H-0.1Hz)の連続刺激を与えるとe.j.p.の大きさは最初の刺激によって発生するe.j.p.の大きさに比し漸減する。VIPはネコ及びイヌ気管平滑筋で観察されるe.j.p.の漸減現象を増強した。高頻度(20Hz)の神経刺激によりe.j.p.は加重現象を示し、この現象はイヌ気管において顕著であった。すなわち20Hzで10回の頻回刺激により、e.j.p.の大きさは1回刺激のそれに比しイヌでは22.3±4.2倍に、ネコでは2.2±2.0倍にすぎなかった。VIPはこのe.j.p.の加重現象を両組織において抑制した。内因性VIPの興奮性神経-効果器伝達に及ぼす効果を観察する目的で、抗VIP-抗体及び、VIP拮抗剤の効果を観察した。抗-VIP-抗体はネコで観察されるNANC弛緩を著明に抑制し、ネコ気管平滑筋におけるe.j.p.の加重現象を著明に増強した。しかしイヌe.j.p.には効果を示さなかった。VIP拮抗剤もネコe.j.p.の加重現象を著明に増強したが、NANC弛緩には効果を示さなかった。以上の実験結果よりネコ迷走神経系に含まれるNANC伝達物質にはVIPが関与する可能性が示唆され、さらにVIPは気道平滑筋に直接作用し筋弛緩をもたらすと共に迷走神経終末に作用しアセチルコリン放出を抑制する二重抑制効果を有すると考えられる。喘息患者の肺組織にはVIPが欠除していると考えられており本実験結果は喘息発症への手掛りとなる。
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