研究概要 |
本研究により新規なプロラクチン様蛋白質のcDNAクロ-ンを4種発見し,塩基配列およびコ-ドされるタンパク質の一次構造を解明することが出来た。当教室ではこれらのウシ胎盤から発現するプロラクチン様ホルモンをbPLPーI,II,IIIおよびIVと名付けた。bPLPーI,II,III,IVはアミノ酸配列がウシプロラクチンに相似しそれぞれ50,48,43,48%の相同性を示した。塩基配列レベルでは夫々71,66,68,68%の相同性であった。またウシ成長ホルモンに対してはアミノ酸配列が夫々23,23,22,22%の相同性を示すに留まり,塩基配列レベルでもそれぞれ46,47,43,49%の相同性であった。PLPーIは一方でウシ胎盤性ラクトゲンに極めて類似し,成熟タンパク質のN末端がアラニンからバリンに変っているのみであった。従ってbPLPーIはバリン型ウシ胎盤性ラクトゲン,bPL(Val),と呼ぶことができる。4種の新規ホルモンは胎盤性ラクトゲン(Ala)に対してアミノ酸配列が夫々99.6,39,38,40%の相同性であり,塩基配列が99.9,62,64,63%の相同性であった。bPLPーI,II,III,IVは相互間ではアミノ酸で38から62%の相同性を示し合い,塩基配列では62から80%の相同性を示した。このように新しく発見された4種のクロ-ンは,成長ホルモン/プロラクチン遺伝子ファミリ-に属し,どちらかと云えば成長ホルモンよりプロラクチンにより相同性が強く,妊娠時の胎仔と母体の成育・栄養に重要な役割を果すものと考えられる。予想される成熟型タンパク質はbPLPーI,II,III,IVは夫々201,202,203,201個のアミノ酸で構成されていた。これら4種のホルモンのウシ胎盤における遺伝子発現をノ-ザンブロット法で解析すると,4種とも妊娠時期に特異的に発現してそれぞれ妊娠末期において増大することが判明した。
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