研究概要 |
(1):ラットプロテアソ-ムのcDNAクロ-ニングと一次構造の解析 ラット肝プロテアソ-ムを構成する複数のサブユニット成分を逆相高速液体クロマトグラフイ-で分離し、その溶出順にRC1からRC10と命名した。各成分の部分構造を基に合成したヌクレオチドをプロ-ブとしてラット肝のcDNAライブラリ-をスクリ-ニングして、プロテアソ-ムをコ-ドするcDNAクロ-ンを分離した。そのヌクレオチド配列から現在RC2,RC3,RC5,RC8,RC9の5種の成分の一次構造を決定した。これら全てのサブユニットは独立した遺伝子にコ-ドされていたが、これらの成分と構造類似性を示す既知の蛋白質は存在しなかった。しかしプロテアソ-ムのサブユニット間では高いホモロジ-が認められたので、プロテアソ-ムは一群のファミリ-を構成する遺伝子産物が集合した新種の複合体であると結論された。 (2):ヒトプロテアソ-ムのcDNAクロ-ニングと一次構造の解析 ラットプロテアソ-ムの成分RC2とRC8のcDNAをプロ-ブとしてヒト肝癌細胞のcDNAライブラリ-をスクリ-ニングし、ヒトプロテアソ-ムの成分HC2とHC8をコ-ドするcDNAクロ-ンを単離し、そのヌクレオチド配列より一次構造を決定した。このヒトHC2,HC8とラットRC2,RC8の一次構造は95%以上同一であり、これらが同種の機能を保持している可能性が示唆された。 (3):イ-ストプロテアソ-ムのcDNAクロ-ニングと一次構造の解析 イ-ストプロテアソ-ムの抗体をプロ-ブとしてイ-ストcDNAの発現系ライブラリ-をスクリ-ニングし、二種の成分YC1とYC7-αのcDNAを単離しその一次構造を決定した。これらの成分はラット及びヒト成分と互いに高い構造類似性があり、プロテアソ-ムの成分群は進化的に保存された共通の遺伝子が生じてきたことが示唆された。
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