1.アミロイドP成分はヒトの原発性アミロイド-シス、続発性アミロイド-シス、家族性アミロイドポリニュ-ロパシ-などの患者組織中に普遍的に見られる糖蛋白質で、カルシウム依存的にアミロイドに結合している。本研究において我々はアミロイドP成分がアミロイド組織に普遍的に存在する原因を究明し、結合のリガンドがヘパラン硫酸やデルマタン硫酸であることを明らかにし、従来の通説を覆した。最近、マウスを用いた実験アミロイド-シスにおいてヘパラン硫酸プロテオグリカンの出現がアミロイド細線維の沈着と時間的にも一致することが外国の研究者により明らかにされたことと併せて、我々の研究成果により、アミロイド-シスの発症、あるいは組織におけるアミロイド細線維の形成と維持において、アミロイドP成分とヘパラン硫酸プロテオグリカンの役割が認識されるようになった。 2.糖蛋白質であるアミロイドP成分の糖鎖構造と結合活性の関係を明らかにし、生物活性を変えることなく糖鎖を修飾できる範囲を示した。またアミロイドP成分サブユニットの11残基のリジンのうち3つがヘパラン硫酸との結合に関与するドメインに存在することを明らかに出来たので、将来、不活性型P成分を持つトランスジェニックマウスを作成したアミロド形成におけるP成分の役割を研究する手掛りを得た。 3.我々はアミロイドP成分のCa^<2+>に依る会合およびP成分がヘパラン硫酸に強く結合することを明らかにした。本研究でさらに、各種の硫酸化多糖についてP成分の会合に対する阻害活性を調べ、高分子のデキストラン硫酸やヘパリンに強い活性を認めた。これらの硫酸化多糖はアミロイド溶解剤として利用できる可能性があることが明らかとなった。
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