研究概要 |
1.剖検により得られた正常肺8例とびまん性間質性肺炎、肺線維症組織3例の新鮮材料を未固定のままクリオスタットで10μに薄切し、スライドグラスにはりつけ、ペプシン処理、コラ-ゲンを可溶化し抽出後、その抽出液をDEAEセルロ-スクロマトグラフィ-でタイプ別コラ-ゲンを分離した。この操作の前後で、肺組織のEvG,Ag,Masson染色、また抗タイプ別コラ-ゲン抗体、抗タイプI、抗タイプIIIと抗タイプIV抗体を用いてABC法による酵素抗体法を行い、コラ-ゲン成分の消失と残存を観察した。2.生材料そのままを30ー50グラム、ホモゲナイズ後上記と同様に可溶化してタイプ別コラ-ゲンを定量した。おおよそのαI(III)/αI(I)は正常例で0.1線維化肺例で0.8ほどであった。3.抗コラ-ゲン抗体を用いてPAP法により、上記の結果を確認したが、線維化肺ではタイプIIIの抗体のものの方がより強く染色された。4.出現する細胞成分の種類と増減について線維化肺組織では、リンパ球、マクロファ-ジ、線維芽細胞、平滑筋細胞等が増加しているが、場所によるバラツキが大きいこと、光学顕微鏡のみでは同定の困難な細胞が結構あることがわかった。5.ヒト線維化肺のタイプ別コラ-ゲンの増減の研究の(1)の剖検により得られた正常肺、進行した線維化肺の新鮮材料をホモジネ-トし、除脂質、ペプシン処理によりコラ-ゲンの可溶化では、IV、V型コラ-ゲンがペプシン処理により殆ど抽出された。タイプI、III型コラ-ゲンはペプシン処理後の残渣をさらに尿素処理、CNBr消化を行ってもまだその中にI、III型が存在した。タイプI、III型コラ-ゲンの可溶化にはペプシン消化の条件を改善しなければならない。6.ヒト線維化肺では、正常に比べてI型コラ-ゲンとIII型コラ-ゲンの相対比の変化、III型コラ-ゲンの増加、IV型コラ-ゲンの減少、V型コラ-ゲンの増加の傾向が認められた。
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