研究概要 |
1.材料 AMex(Aceton Methylbenzoate Xylene包埋)法により組織標本を作成し病理学的検索がなされたのは84例で,各症例あたり平均で20個のブロックが作成された.このうち22例(26.2%)に潜在癌が発見された. 2.DNA抽出,分析 AMeX包埋前立腺組織の100μ厚の切片重量は脱パラフィン前で43ー56mgであり,脱パラフィンにより平均42%減少した.同切片からphenol法で48ー65μgのDNAを回収し,その収率は0.13ー0.15%であった.回収されたDNAはアガロ-ス電気泳動法により数十kb以上の高分子を多く含むことが確認された. 3.癌遺伝子増幅の検索 上記により得られたDNA試料をナイロンメンブランに10μずつスポットし,ビオチン標識したDNA probeでhybridizeし,遺伝子増幅の有無を検討した.用いたprobeは cーmyc 3rd exon,cーHaーrasおよびcーKiーras癌遺伝子に対するもので,hybridizationの条件は42℃,overnight incubationで,使用したprobeの濃度はいずれも12.5μg/mlで,緩衝液は5XSSC,45%formamideを含むものである.発色はalkaliーphosphatase標識streptavidine/BCIP法を用いた.検索した全例でこれらの癌遺伝子の増幅はみられなかった。
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