研究概要 |
1.当研究室で樹立したTー33に続く新しい巨核球系細胞株の樹立はできなかったが,その代わり真性多血症由来の骨髄性細胞株および血小板増多を伴う悪性中皮腫由来の細胞株を樹立した。後者の細胞株は血小板放出因子を含むことが期待されているが,現在のところILー6,およびILー3の産生能を認めている。 2.巨核球系の分化因子として注目されているILー6を使ってTー33細胞株の分化誘導を試みたところ,ILー6単独で細胞質内の血小板糖蛋白(GP llb llla)の増加があり,さらにTPAとの併用投与によって,これまでTー33において陰性であった細胞膜表面のGP llb lllaが発現したことより,ILー6は巨核芽球性株細胞に対しても分化成熟を促す作用があることがわかった。その他の細胞培養上清にはILー6と同様のTー33に対する分化誘導作用を認めていない。 3.Tー33の分化誘導におけるcーyes癌遺伝子蛋白のチロシンキナ-ゼ活性の検討を免疫沈降法でさらに続けた。Tー33はTPA処理後3時間から40時間にかけて,つねにTPK活性の低下を認めた。K562も同様に16時間から40時間にかけて低下した。反対に,単球系細胞のU937株はTPA処理後6時間から48時間にかけてTPK活性は増加した。HLー60は3時間から12時間においては低下の傾向を示し,36時間において増加した。ILー6処理後のTー33は40時間において増加した。一方,cーsrcのTPKに関しては,Tー33,K562,HLー60株は24時間から48時間にかけて増加した。
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