研究概要 |
今回は1年に2系統、合計4系統のマウスを用いて作用機序の異なる二つのプロモ-タ-を用いて皮膚発癌の研究を行った。動物は8週令の雌C57BL/6,DBA/2N,C3H/HeN並びにC3H/C^bsマウスに4μmol NーmethylーN'ーnitroーNーnitrosoguani dine(MNNG)を背部に1回塗布し、2週間後より12ー0ーtetradecanoylーphorbolー13ーacetone(TPA)10n mol又benzoyl peroxide(BzP)10並びに20mgを0.2mlのacetoneに溶解し、週2回、合計30週塗布し続けていて、一部は継続中である。MNNG+TPA群ではDBA/2マウスでは72%,C^bでは58%,C57BLでは37%と又一匹あたりの個数も同様な傾向を呈した。即ち、MNNG+TPA系での皮膚腫瘍発生はDBAが最も感受性が高く、C57BLが最も感受性が低かった。た。又、MNNG+BzP10mg群での皮膚腫瘍の発生率はDBAマウスで72%と最も多く,C57BLマウスでは6%,C^bsマウスでは0%であった。20mg群では各々の系統で35%,25%,0%であった。活性酵素を介してプロモ-タ-作用を行なうBzPではDBAマウスでは10mgでプロモ-タ-作用が強く、20mgでは皮膚腫瘍の発生を阻害した。一方、C57BLでは濃度依存性に皮膚発癌を増加した。しかし、低カタラ-ゼマウス(C^bs)では、SOD値が他の動物より高いためにBzPで出現する活性酵素がこのSODの働きで分解されるためプロモ-ション作用は起こさなかったと考えられた。以上の事より、TPA,BzPの作用機序の異なった二つのプロモ-タ-を用いた皮膚発癌の研究で各々のプロモ-タ-に系統差がある事が判明した。
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