研究課題/領域番号 |
01570216
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
高岡 宏行 大分医科大学, 医学部, 助教授 (00094152)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | フィラリア / オンコセルカ症 / ブユ / 人獣共通寄生虫病 / 昆虫媒介性寄生虫病 / 牛の糸状虫 / 感染症 |
研究概要 |
大分において見いだされた、我国で初めての動物寄生性オンコセルカの人体寄生症例に関連して、その感染動態を明らかにする目的で、起因種および媒介昆虫に関する調査を行い、以下の結果を得た。1)患者の居住地区で行った人囮法による周年調査で、人吸血性昆虫として8種のブユが採集され、最優先種のキアシツメトゲブユから2種のオンコセルカが見いだされた。2)周辺地域の牛舎における周年調査では、10種のブユが採集され、キアシツメトゲブユ、ヒメアシマダラブユ、アオキツメトゲブユの順に多かった。キアシツメトゲブユからは2種、またヒメアシマダラブユから1種のオンコセルカの感染幼虫が見いだされた。形態的特徴から、前者2種は、人囮法で見いだされた2種と同一で、このうち1種は牛の寄生虫として知られているOnchocerca gutturosaと思われる。もう一つの種は新種と思われる。ヒメアシマダラブユから見いだされた種は牛寄生性のOnchocerca lienalisと思われる。3)屠殺された牛の皮膚および牛舎で吸血したブユの胃から、従来O.gutturosaとされていた2型のミクロフィラリアが認められた。マイクロマニュピレ-タ-を用いてブユの胸部に実験的に感染させた結果、1型はO.lienalisと思われる感染幼虫に、他の型はキアシツメトゲブユから見いだされた新種とおもわれる幼虫に発育した。4)これらの2型のミクロフィラリアは、酸性フォスファタ-ゼの活性パタ-ンでも明らかな違いが認められ、1型はO.lienalisのパタ-ンを示した。5)大分以外の地域では、熊本、山口、岩手、福岡、佐賀、鹿児島において調査を行い、前3県のブユから牛のオンコセルカの幼虫の自然感染を見いだしている。以上のように、我国の牛には既知のO.gutturosaを含めてブユが媒介する3種のオンコセルカ種が寄生していること、さらにこれらがブユの吸血により人へ感染する機会が存在することが本研究により初めて明らかとなった。
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