研究課題/領域番号 |
01570221
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
田邊 將信 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80051928)
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研究分担者 |
金子 信明 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50177523)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1990年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1989年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | マンソン住血吸虫 / 肝細胞ミトコンドリア / Mg^<2+>ーATPase / 虫卵性肉芽腫 / 遊離プロリン / コラ-ゲン / 呼吸能 / 電子伝達系 / NADH脱水素酵素 |
研究概要 |
マンソン住血吸虫感染マウスでは、その活実質細胞ミトコンドリア(M+)機能、特にその呼吸能が顕著に低下することが観察された。また、感染マウスから分離したMt中のリンゴ酸脱水素酵素、NADH脱水素酵素、チトクロ-ム酸化酵素、グルタミン酸脱水素酵素活性も感染経過に伴ない有意に低下し、超微形態学的並びに酵素組織化学的にもMt変化が観察された。さらに、感染マウスのMtは、非感染マウスに比較し、高いMg^<2+>ーATPase(等張液中)活性を示し、Mt膜機能も変化していることが示唆された。この様なMt機能低下の発生機序を明らかにするため、マンソン住血吸虫成虫培養液、成虫粗抽出液、虫卵性肉芽腫粗抽出液を非感染正常マウスに投与したところ、虫卵性肉芽腫粗抽出液投与マウスに上記生化学的、超微形態学的変化が観察された。そこで、虫卵性肉芽腫粗抽出液を出発材料として、このような肝実質細胞変化をもたらす物質を特定化するため精製を試みた。粗抽出液を硫安塩析、SephadexGー200ゲル濾過、DEAEーSephadexAー25イオン交換クロマト法で部分精製した。この部分精製標品をマウス腹腔内に投与するか、初代培養肝細胞の培養液に添加すると、肝細胞に上記超微形態学的変化及び肝細胞Mtのマ-カ-酵素であるCarbamoylーphosphate synthetaseー1及びOrnithine Carbamoyphransferase活性が有意に低下することが観察された。しかし、部分精製標品は極めて不安定で、イオン交換クロマト後速やかに活性が低下し、これ以上の精製は困難であった。一方、マンソン住血吸虫感染マウスの肝臓内遊離プロリン量が上記生化学的変化に一致して上昇し、しかも先述した虫卵性肉芽腫粗抽出液投与マウスの肝内遊離プロリン量が有意に増加することが観察された。 以上の成績は、なお断片的ではあるが、住血吸虫感染が宿主の肝細胞Mt機能の低下をもたらすこと、さらにこの変化が肝臓におけるコラ-ゲン合成増加に密接に関連している可能性を示唆していると考えられた。
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