研究概要 |
我々はすでにヒト顆粒球ーマクロファ-ジ系細胞に特異的に反応するモノクロナル抗体の作製を報告してきた。本年度は,この抗体と,共同研究者の一人であるウイスタ-研究所のRovera博士が樹立したGMーCSF,ILー3やGーCSFにより増殖するヒト骨髄性白血病細胞株を免疫原としてさらにGMーCSFとILー3依存性細胞増殖を特異的に阻害する3つのモノクロナル抗体と用いてヒトGMーCSFやILー3レセプタ-の解析を行った。これらのモノクロナル抗体はいずれも同程度GMーCSFやILー3に特異的細胞増殖反応を阻害するが,GーCSFやILー2に対する増殖反応には全く影響を与えないことから,GMーCSFやILー3による細胞増殖を特異的に阻害する抗体である。ところが,これらの抗体のいずれもGMーCSFやILー3レセプタ-に作用して,GMーCSFやILー3の代用効果はなかった。つぎに,これらの抗体が^<125>Iで標識したGMーCSFのヒト骨髄性白血病細胞株に対する結合を阻害出来るかどうか検討を行った結果有意に阻害出来ることが明らかになった。これらの事実は,我々が作製したモノクロナル抗体がGMーCSFやILー3レセプタ-そのものか,または,両者のレセプタ-に共通に存在する近接の構造物に対する抗体であることを示唆している。我々はさらに一つのモノクロナル抗体(αMaGー1)が認識する抗原の精製を目指し,抗MaGー1抗体によるイムノアフィニティ-カラムクロマトクロマトグラフィ-によりほぼ均一なバンドにまで精製することが出来た。現在,MaGー1抗原の精製,Nー末端のアミノ酸配列の決定およびSeedらが開発した発現ベクタ-とモノクロナル抗体を用いてクロ-ニングを行っている。
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