研究概要 |
1.スチレンの一定量(0.1,0.175,0.25ml)を腹腔内投与したところ、投与量の約10ー20%が呼気から排泄された。スチレンを多量(0.175および0.25ml)投与したとき,呼気中スチレン濃度が20ppm以上では初期の排泄速度が遅延する傾向にあり,呼気中スチレン濃度が20ppm以下のところでは1次反応速度式にしたがって一定の速度(半減期約4時間)で排泄されることを認めた。 2.ラットにスチレンの0.1,0.125,0.175,0.25mlを腹腔内投与し、3種の尿中代謝物(フェニルグリオキシル酸(PGA),マンデル酸(MA),馬尿酸(HA))を測定したところ,投与後PGAのピ-クは7ー10時間,MAは85ー10.5時間で投与量が多くなるに従ってピ-クは遅れた。しかしHAはほぼ8時間となった。減衰は一次反応式に従い,その半減期はPGA約7時間,MA約9時間,HA約20時間であった。また排泄比はPGA:MA:HA=5:1:3となった。さらに投与量に対する総代謝物量は60ー70%で投与量が多くなるに従ってその割合は減少した。ピ-ク時間のずれおよび投与量に対する総代謝物量の変化からスチレン投与量が多量の場合は飽和状態になっていると推定された。 3.ラットにスチレンを投与した場合,未反応のままスチレンは呼気から排泄される。さらに肝臓で代謝されてPGA,MA,HAとして尿から排泄される。それは投与されたスチレン量に対し約80%であった。
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