研究概要 |
(1)ハプトグロビンα鎖特異的cDNAプロ-ブ(Hp2α)を用いた型判定 Hp probeによる血清の型判定は、既報の制限酵素 EcoRI,HindIII,PstI,BamHIの他に、BclI,BglII,SstIでも多型性が認められた。多型性は血清型(2-2,2-1,1-1)と全く同様に判定され,related geneがいずれも認められた。例えば,BamHIでは,9.2kbが2型の,7.5kbが1型の,2.4kb relatedのgeneが検出できた。 (2)Hp subtyping 制限酵素XbaIで,1のgeneがSとFの2種に細分類できたが,日本人でのdistributionの偏りのためにheterozygosityは上昇せず,個人識別にあまり有用ではなかった。また等電点電気泳動による抗Hpを用いたimmunoblotingでsubtypeが2FS/2varlと判定された家系(S.Shindo,Electrophoreis,in press)の3世代5人(内3人がvariant)の検討を行ったが、DNAレベルでの差異は検出できなかった。 (3)血痕検査 HindlII,XbaIを使用し、陣旧血痕のHp判定を検討した。ヒトgenomeを血痕から抽出・泳動するとhigh molecular weight DNAは室温保存で2〜3年間保たれていた。しかし、HpのDNA hybridization では、1〜1.5年が検出限界であった。血痕量は最低1.5cm^2必要であった。(1)と(3)は,Forens.Sci.Inter.(Yokoi & Sagisaka)に投稿・印刷中である。 (4)non-RI検出法 本probeを用い、Behringerのanti-digによる、P発色検出法と、Amershamのluminol反応検出の2法が良い成績を示した。特異性・コストは前者が時間的には後者が優れていた。 (5)Hp^o型 ヒト血清3,800検体についてsingle immuno difusionとPAGEでHpが検出不能(従来Hp^o型としていた)の16例について、Hp probeと前記8種の制限酵素で検討した。1例を除いた全てで正常検体と同様に判定が可能であった。例外の1例はいずれの酵素を用いても反応せず、遺伝子欠損が考えられた。 (6)今後の展開(2)については、タンパクレベルでのvariantとDNAの相関について更に検討と進めたい。 については、Hp遺伝子欠損は未だ報告がなく、家族調査、クロモゾ-ムでの欠損、DNAレベルでの欠損の場所・長さの検討などを計画している。
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