研究概要 |
AH100B細胞を体重80〜120gの雄呑龍ラット(本実験ではこの規格の動物を用いた)を開腹して胃,腸,膵,脾に,それぞれ移植して,転移動物実験モデルを作製した。各実験モデルでとに肝に約1粍の転移を形成した時に,ラットを屠殺して,肝転結節と原発巣の組織を,それぞれ1ケずつ少量の生食水とともに正常ラットの腹腔内に注入して,腫瘍結節の癌細胞を遊離化した。すなわち,約2〜3週後(これはAH100Bを移植された臓器によって異なる),ラットから腹水が血性とならぬ時期に採取して,それぞれ,正常ラットに再移植す。7日後,腹水が血性とならざる時期に腹水を採取し,遠沈し上清を氷冷す。これらのラットにインドメサシン,リポキシゲナ-ゼ阻害剤を加え,4時間後,腹水を採取して遠心す。前述の上清とこれらの上清とについて,セパックC18(ウオタ-ズ製)により抽出したエイコサノイド画分を山口ら^*の方法にてB_2ーDMEQを用いて蛍光ラベルし,本研究費にて購入したHPLC(LC7A型)にて分離し,フラクションコレクタ-にて分取した。その際スタンダ-ドとして,6ケトPGF_<1α>,PGF_<1α>,PGF_<2α>,PGE_1,PGE_2,PGD_2,PGA_2,TXB_2,LTB_4,LTC_4を用いた。各実験モデルで,転移癌細胞から原発巣の癌細胞に認められないエイコサノイドと考えられる画分を得たので,GCーMSを用いてその構造の検討を行った。また,併わせて,これらの未知のエイコサノイドの生理活性,特に癌転移形成との関連についても検討を行った。 ^*山口ら:J.Chromatogr.,380巻,257頁,1986
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