研究課題/領域番号 |
01570383
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
上村 朝輝 新潟大学, 医学部, 助教授 (70018894)
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研究分担者 |
高橋 達 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (20188030)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 原発性胆汁性肝硬変 / 抗ミトコンドリア抗体 / 抗PDH抗体 / 抗BCKD抗体 / 抗KGDH抗体 / 慢性非化膿性破壊性胆管炎 |
研究概要 |
原発性胆汁性肝硬変(PBC)を診断する上で重要な抗糸粒体抗体(AMA)の対応抗原がpyruvate dehydrogenase(PDH)、branched chain ketoacid dehydrogenase(BCKD)、α-ketoglutarate dehydrogenase(KGDH)のE2 componentであることが明らかになった。そこでPBCの診断率向上を目的としこれらの抗原に対する抗体の測定系(ELISA法)を開発した。 PDHとKGDHはウシの心筋からBCKDはウシの腎臓から抽出精製し96穴 ELISA plateに固相化した間接法にて行った。PBC100例中の陽性率は抗PDH抗体86%、抗BCKD抗体79%、抗KGDH抗体54%であり、少なくとも一つ以上が陽性となったのは95例(95%)であり、蛍光抗体間接法によるAMAの陽性率84%より高く今後PBCの診断に役立つ結果が得られた。UDCA、Colchcine単独または併用療法前後の抗PDH抗体価の検討では、治療開始後肝機能の改善とともに抗体価は下降する傾向がみられ、治療効果の指標になると考えた。肝の組織学的進展度と抗体価についてはScheuerIII期を除き、I期、II期、IV期と有意に上昇したが、逆に抗体価から組織学的診断を推定することは不可能であった。 さらに抗PDH抗体がPBCの発症機序への関わりを検討するために、PBC患者肝組織内PDHの局在についてPDH E2 componentに対するモノクロナ-ル抗体を用いて検索した。PBCの特徴的変化である慢性非化膿性破壊性胆管炎の存在する小葉間胆管細胞の細胞質にPDH E2 compohentがび慢性に染色されたが、基底膜には染色されず、抗PDH抗体自体がADCCなどの機構で直接的にPBCの病因に関わる可能性は少ないとの結論を得た。 以上より抗PDH抗体、抗BCKD抗体、抗KGDH抗体の測定はPBCの診断率を向上させることが判明し、このうち抗PDH抗体は細菌その他の外来性物質由来の抗原との交差反応によっても出現する可能性があり、今後はこの方面からの研究も重要な課題と考えられた。
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