研究概要 |
BCG死菌感作家兎の気管支肺胞洗浄液(BAL)細胞を抗原としてマウスを過免疫し,細胞融合法により,BCG感作家兎の肺胞マクロファ-ジ(AMφ)と反応し,正常家兎のAMφとは反応しない単クロ-ン性抗体を作成し,AMー1と名付けた。 1.各種細胞とAMー1との反応性:AMー1は正常家兎のAMφとは反応性を示さず,同様に正常家兎のBAL好中球・リンパ球,末梢血単球・赤血球・血小板・好中球・リンパ球,そのいずれとも交叉反応性を示さなかった。しかし,死菌BCG感作家兎のAMφとは反応し,死菌BCG感作3日後,7日後の家兎のAMφの陽性率は90%以上であった。さらに,感作後の日数を経るに従い陽性率は,徐々に低下する傾向を示した。ラット,ヒトとの交叉反応は認めなかった。 2.培養AMφとの反応性:正常家兎AMφは無血清培養しても,AMー1に対する反応性をほとんど示さなかったが,血清あるいはリンフォカイン添加培養では,培養12時間後から反応性を発現し,24時間後がピ-クであった。 3.AMー1のAMφ貪食能に与える影響:貪食率は,細胞に対して20倍のFITC標識ビ-ズを加え,37℃,30分間培養後,測定した,BCG感作家兎のAMφの貪食率は73%と正常家兎の63%に比して亢進していたが,AMー1で4℃,1時間,前処置すると(BCG感作家兎AMφ:90%以上反応,正常家兎AMφ:5%以下),BCG感作家兎AMφ:64%,正常家兎AMφ:64%とBCG感作家兎AMφで貪食率が抑制された。 4.AMー1の1gサブクラス:IgG_<2b>(Ouchterlony法)。 AMー1の認識する抗原はAMφの活性化の早期より発現する抗原と考えられ,AMφの機能と関連していることが推定された。
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