研究概要 |
主としてヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用い実験した。 1.ILー1_α,ILー1_β(10U/ml),IFNーα(1000U/ml),TNFα(1000U/ml)あるいはLPS(1μg/ml)を含む培養液にてHUVECを24時間培養することにより,その後のトロンビン刺激によるHUVECのPGI_2産生を有意に促進した。またヒト末梢血より単球を分離し,LPSを添加する群としない群とに分け,フラスコにて培養後,そのpostculture mediumを採取し,monocyteーconditioned medium(MoーCM),LPSーmonocyteーconditioned medium(LPSーMoーCM)とした。MoーCMやLPSーMoーCMでHUVECを24時間培養後,同様にトロンビン刺激すると,ILー1,IFNーαやTNFなどでHUVECを培養した後よりもはるかに多量のPGI_2が産生された。 2.MoーCMを作る際の単球の培養時間が長い程,そのMoーCMでHUVECを培養後のPGI_2産生が高まることが確認された。またMoーCM中のILー1_βをELISAにて定量すると,単球の培養時間が長い程,そのMoーCM中に含まれるILー1_βが多いことが確認された。 3.単球を24時間培養して作成したMoーCMにTNFαやILー1_αなどの抗体を過剰に加えHUVECを培養した。その後のトロンビン刺激によるPGI_2産生は抑制されるが,ILー1やTNFを含む培養液でHUVECを培養した場合や,無処置のHUVECの場合よりもかなり多量のPGI_2が依然として産生されていた。すなわち単球からILー1やTNFなどのさまざまなサイトカインが放出され,それによりHUVECのPGI_2産生を刺激していると考えられるが,従来考えられているILー1やTNF以外のサイトカインもHUVECのPGI_2産生に大きく関与している可能性がある。 4.MoーCMやLPSーMoーCMでHUVECを培養する際,その後のHUVEC培養液中のILー1濃度に大きな変動はなかった。すなわちILー1によるHUVECのILー1産生促進効果は明らかではなかった。
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