研究課題/領域番号 |
01570441
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
郭 伸 国立精神・神経センター, 神経研究所, 室長 (40160981)
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研究分担者 |
相澤 仁志 国立精神神経センター, 神経研究所, 流動研究員
貫名 信行 東京大学, 医学部, 助手 (10134595)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1989年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 淡蒼球 / 大脳基底核 / 淡蒼球視床路 / 神経伝達物質 / GABA / アチネジア / 進行性淡蒼球萎縮症 / アキネジア |
研究概要 |
1。進行性淡蒼球変性症(PPD)脳において神経伝達物質の変化を16例のコントロ-ルと比較し測定した。病理学的には、淡蒼球の著明な萎縮と内外髄板および淡蒼球の遠心線維にミエリンの淡明化が認められ、淡蒼球の神経細胞数はコントロ-ルの1/3ー1/4に減少していた。GABAは淡蒼球、視床下核(ST)で低下、グルタミン酸は淡蒼球内節(GPi)、STで増加、コリン・アセチルトランスフェラ-ゼ活性は淡蒼球外節(GPe)、GPi、ST、視床VA核・VL核で増加、ノルアドレナリンはGPで低下していたが、それ以外の領域では変化がなく、またド-パミン、セロトニンには異常を認めなかった。これらの結果を淡蒼球の神経線維連絡を考慮して解釈すると、淡蒼球および淡蒼球からの投射線維を受けている核にのみ変化が見られることが明らかである。すなわちPPD脳では、淡蒼球(介在、出力)ニュ-ロン、一部の入力線維終末が変性し、おそらく代償機構によって変性部位のコリン作動性ニュ-ロンの活性が亢進したと考えられる。本例は、一例に過ぎないが、症例自体が極めて稀であり、しかも病変が淡蒼球ニュ-ロンに限局している点で淡蒼球を中心としたニュ-ロンの働きを検索するうえで貴重な症例である。本例は動作の緩慢を臨床像の特徴としているが、これが従来淡蒼球病変の臨床像としては余り注目されなかった理由の一つに、通過神経線維よりも細胞体に強い特異な淡蒼球の病理像が上げられよう。 2。神経伝達物質変化は淡蒼球病変を反映していることが確かめられたので、GABA作動性ニュ-ロンが含まれるとされている淡蒼球視床路の視床内終止部位をヒト脳で明らかにするために、視床のGABAをmicrodissection法で測定した。コントロ-ル群に特徴的にみられる斑状の分布様式がVL核の外側部(Vo)で消失し、GABA濃度が一様に低下していた。これは、淡蒼球視床路の変性を示す所見であると考えられ、ヒトのGABA作動性淡蒼球視床路が特にVo核を中心としたVL核に斑状に、限局した領域に終止していることを示すもので、従来明らかではなかった所見である。
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