研究課題/領域番号 |
01570468
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
土持 英嗣 東京大学, 医学部第三内科(病), 助手 (90197715)
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研究分担者 |
世古 義規 東京大学, 医学部(病)第三内科, 医員
矢崎 義雄 東京大学, 医学部(病)第三内科, 助教授 (20101090)
永井 良三 東京大学, 医学部(病)中央検査部, 講師 (60207975)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 拡張型心筋症 / コクサッキ-ウィルス / 持続感染 / 遺伝子増幅法 |
研究概要 |
本研究の最終目的は、拡張型心筋症(DCM)の一つの発症機序とされる心筋内でのウィルス持続感染の有無をgene amplification(PCR:polymerase chain reaction)の手法を用いることより、正確に診断するところにある。これまでに、西独のKandolfらによりDCM患者の心筋内にコクサッキ-ウィルスの潜在感染が、高率に存在することが報告されているものの、その手法は非特異的反応の多いdot blotting法であり、コクサッキ-ウィルスの存在を示す確実な根拠はない。そこで我々は、PCRを用いて心筋におけるコクサッキ-ウィルスの持続感染の可能性、及び、DCM患者心筋での本ウィルスの存在につき検討した。まず、本ウィルスの異なった2ヶ所の部位で、sense、 antisenseの2個づつのprimerを作製した。一方、心筋よりRNAを抽出し、逆転写酵素により一担cDNAに変換した後、これらのprimerを用いてPCRを行い、目的とする遺伝子が存在するか否かを電気泳動により確認した。その結果、C_3Hマウスにおいては、ウィルス接種後1〜2週目までは心筋内での本ウィルス遺伝子の存在を確認しえたものの、2週目以降は確認不可能であった。ヒトDCM心筋においてもRNAを採取し得た11例の症例のうち、本ウィルス遺伝子の存在を示す根拠には得られなかった。また、本ウィルスがantisenseの状態で存在している可能性もふまえ、同様の実験を行ったが、いずれもその根拠は得られなかった。以上より、心筋内でのコクサッキ-ウィルスの持続感染は、実験例、及び臨床例において否定的である可能性が高いと結論された。従って、Kandolfらの報告は、dot blottingという手法ゆえの非特異的反応をみている可能性があると考えられる。今後、コクサッキ-ウィルス以外のウィルス存在に関し、発現ベクタ-を用いてcDNA libraryの作製等を行っていく必要がある。
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