研究課題/領域番号 |
01570480
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
林 博史 名古屋大学, 医学部, 講師 (00135352)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | QRSTマップ / 心筋硬塞 / 左脚ブロック / WPW症候群 |
研究概要 |
本実験の目的は従来12誘導心電図による診断が困難な左脚ブロックあるいはWPW症候群に合併した心筋硬塞の診断に体表面QRST isoarea mapが有用か否かを検討することである。非開胸犬において、透視下で左冠動脈前下行枝を閉塞して前壁硬塞を作成し、その急性期および慢性期において右室ペ-シングにより左脚ブロックを、右房・右室順次ペ-シングによりWPW症候群を模し、体表面87点よりQRST isoarea mapを記録した。急性実験8頭におけるQRST isoarea mapは、興奮伝播過程に依存せず、ペ-シングにより模した左脚ブロックにおいてもWPW症候群においても正常伝導時と同様に、冠動脈閉塞直後には左前胸部においてQRSTの異常高値領域を認め、また冠動脈閉塞数時間後には同部においてQRSTの異常低値領域を認めた。このようにQRST isoarea mapは左脚ブロックあるいはWPW症候群に合併した心筋硬塞の診断に有用であることが示された。この結果は英文雑誌Circulationに現在投稿中である。慢性実験においては非開胸下に左冠動脈前下行枝を閉塞することで前壁硬塞を作成し、1週間後にペ-シングにより左脚ブロックおよびWPW症候群を模して体表面QRST isoarea mapを記録した。前壁硬塞作成1週間後における正常伝導時のQRST isoarea mapにおいては左前胸部に異常負領域が出現し、この異常負領域は左脚ブロックおよびWPW症候群においても興奮の伝播過程に依存せず認められた。硬塞作成1週間後に認められた異常負領域の大きさは、実験終了後心臓を摘出しTTC染色により確認した硬塞量と有意な相関を認めた。このように、QRST isoarea mapは従来の心電図では診断困難な伝導障害を合併する心筋硬塞の有無の診断に有用なばかりではなく、硬塞量をも診断しうることが示された。この結果の一部は平成2年3月に行なわれる日本循環器学会において発表予定である。
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