研究課題/領域番号 |
01570484
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀 正二 大阪大学, 医学部, 助手 (20124779)
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研究分担者 |
佐藤 秀幸 大阪大学, 医学部, 助手 (70167435)
楠岡 英雄 大阪大学, 医学部, 助手 (00112011)
北畠 顕 大阪大学, 医学部, 助教授 (00124769)
佐藤 洋 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
鍵谷 俊文 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1990年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1989年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 心不全 / 交換神経α受容体 / 交換神経β受容体 / 心筋症自然発症ハムスタ- / 心肥大 / 細胞内pH / Na^+ / H^+ 交換系 / Ca^<2+> 交換系 / 交感神経α受容体 / 交感神経β受容体 / H^+交換系 / Ca^<2+>交換系 / プロテインキナ-ゼC |
研究概要 |
心不全の発症・進展過程においては、交感神経活性が著しく亢進しており、病態の進行に関与していると考えられる。本研究者は、虚血性心不全モデルにおいて心筋β受容体の増加が、細胞内情報伝達機構の異常に代償的役割を果たしていることをあきらかにしてきたが、本研究で用いた心筋症自然発症シリアンハムスタ-(Bio 14.6)モデルにおいてもモルモット圧負荷心モデルにおいても、心不全代償期においてはβ受容体数の増加がみられ、β受容体数の減少と同時期に心不全の発症がみられることから、β受容体の変動が心不全の代償・発症機転に重要な役割を果たしていることが示唆された。しかし、β受容体数の変動自体が心筋細胞障害の進展を規定するものでなく、心筋不全の前段階と考えられている心筋肥大の進展には、α_1受容体の関与が大きいことが明らかになった。さらに、心不全の病態における交感神経α受容体刺激の細胞内情報伝達機序を明らかにするために、ラット単離心筋細胞において、交感神経α受容体刺激が細胞内pH及び細胞内Ca^<2+>濃度に与える影響を、細胞内pH指示薬BCECF及び指示薬furaー2を用いて検討した。その結果、ノルエピネフリン刺激により細胞内pHは上昇し、それはα_1受容体遮断剤により抑制されたが、α_2受容体遮断剤では抑制されなかった。また、この細胞内pHの上昇は、プロテインキナ-ゼC阻害剤あるいはNa^<2+>/H^+交換系阻害剤により抑制された。一方、細胞内Ca^<2+>もα_1受容体刺激により濃度依存の上昇を示したが、細胞内Ca^<2+>の上昇は細胞外液中のCa^<2+>及びNa^+を除外すると消失し、Na^+/H^+交換系阻害剤により抑制された。したがって、α_1受容体刺激はNa^+/H^+交換系を活性化し、それがNa^+/Ca^<2+>交換系を介し、Ca^<2+>の流入を惹起すると考えられた。また、心筋症自然発症ハムスタ-の単離心筋において、α_1受容体のセカンドメッセンジャ-であるイノシト-ル(1、4、5)3リン酸(IP3)を放射蛋白結合法により測定した結果、対照健常ハムスタ-に比べ、α_1受容体刺激後のIP3反応が亢進していることが明らかになった。以上の結果より、α_1受容体段激後はNa^<2+>/H^+、Na^+/Ca^<2+>交換系を介して、細胞内Ca^<2+>を上昇させ、心不全における細胞内Ca過負荷の原因になっている可能性が示唆された。
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