研究概要 |
モルモットの単一心室筋細胞のカルシウムチャンネルに対するブナゾシン(α_1遮断薬)の電気生理学的作用をパッチクランプ法を用いて検討した。 1.-40mVの保持電位から10mV毎にさまざまな電位に膜を脱分極させて得られたカルシウム電流の電流一電圧曲線より、ブナゾシン(30,100μM)が膜電位依存性にカルシウムチャンネルを抑制することが明らかとなった。 2.ブナゾシン(10-100μM)により濃度依存性にカルシウム電流値の減少を認めた。+10mVの膜電位で測定したカルシウム電流の50%抑制(IC_<50>)濃度は60μMであった。 3.カルシウム電流の不活性化過程に関しては、本剤30μM及び70μMにより、定常状態不活性化曲線は過分極側にそれぞれ5mV及び9mV平行移動した。 4.ブナゾシン(10μM)によるカルシウム電流抑制の程度は脱分極パルス頻度0.33Hz及び2Hzではそれぞれ50%及び87%であり、膜を頻回に反復して脱分極させるほど、カルシウムチャンネルが強く抑制されることが示唆された。 以上より、α_1遮断薬であるブナゾシンが、膜電位、濃度及び頻度依存性に心筋カルシウムチャンネルを抑制することが明らかとなり、第4群の抗不整脈薬としての特質を有することが示唆された。
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