研究概要 |
腎血流量の神経性調節I. 圧受容体反射の役割 予め、腎動脈にパルスドップラ-血流プロ-ブ、腎神経に銀線電極を装着した家兎を用いて、無麻酔下に血圧(MBP)、心拍数、腎神経活動(RSNA)、腎血流量(RBF)を測定した。一部の家兎は調圧神経切除の前処置を行った。 1.安静時 刺激や体動のない状態では、血圧の変動も少なく、RBFも殆んど変化しなかった。MBPが最小と最大値を示す時MBP,RSNA,RBFの関係を調べると,MBPの変化度は13±2mmHgであったが、RSNA,RBFは有意に変化しなかった。三者相互にも有意な相関関係は見られなかった。調圧神経切除家兎では,MBPの変化度,RSNA,RBFの変化率は正常群に比し大であり,MBPの変化率とRBFの変化率の間に正の相関傾向(P<0.1)が認められた。 2.ニトロプルシッド持続静注時 正常群では,MBPが5mmHg低下した時点でのRSNA,RBF変化率との間に強い負の相関(r=-0.95,p<0.001)が認められた。用量を増加してもMBPは55mmHg未満には低下しなかった。ニトロプルシッド注入時の最小RBF,フェニレフリン注入時の最大RBFを示す時のMBPの変化度,RBFの変化率は除神経群で大であった。 以上より、RBFの調節に関してRSNAの密接な関与と圧受容体反射を介した血圧維持機構の重要性が判明した。 腎血流量の神経性調節II. ストレス刺激の影響 正常家兎に対して空気を顔面に噴射するair stressを与えると,RSNAの亢進を伴う血圧の上昇が見られ,これらに相関してRBFが減少(r=-0.86,r=-0.81)した。 RSNAの亢進はRBFの減少ととも尿細管でのNa再吸収を促進する事が知られており、高血圧の発症および維持に関与する可能性が示唆された。
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