研究概要 |
レニン活性化機構については不明の点が多いが、細胞内でのレニンの活性化はレニン顆粒内で生ずる可能性が示唆されている。我々はレニン活性化酵素の局在と性状を明らかにするために本研究を行った。 〈方法〉イヌ賢のレニン顆粒は密度勾配超遠心法により単離した。ヒト不活性型レニンはヒト羊水より得た。ヒト不活性レニン濃度は特異的レニンRIAキットにより測定した。ヒトのプロレニンをcDNAをCOS細胞に発現させた〔^<35>S〕ープロレニンを基質としてレニン顆粒成分とともにインキュベ-トし、SDS電気泳動で分子量の変化を調べた。 〈結果〉(1)ヒト羊水不活性型レニンを、賢レニン顆粒インキュベ-トした。レニン顆粒画分は、トリプシンと同等の活性化能を有していた。至適pHは5〜6であった。なおレニン活性化はNーエチルマレイミドにより部分阻害を受けた。(2)レニン顆粒膜とインキュベ-トしたものでは分子量約48,000(プロレニン)と約45,000(レニン)の2本のバンドから得られた。なおEDTA,セリンプロテア-ゼ阻害剤によってはプロセシングは抑制されず、Nーエチルマレイミド、Eー64、ロイペプチン存在下ではプロレニンのバンドのみ得られプロセシングは抑制された。 〈考察〉インスリンや他のホルモンの中には分泌顆粒中ではプロセシングを受けるものも報告されており、レニンの活性化に関しては、レニン顆粒中で生ずる可能性を示唆する報告がある、(1)我々は今回、ヒト羊水不活性型レニンをイヌ賢レニン顆粒膜成分とインキュベ-トすることにより、レニンの活性化を認めた。(2)ヒトレコンビナントプロレニンを用いて、レニンのプロセシングがレニン顆粒膜成分によりなされる結果を得た。以上のことはレニン活性化がレニン顆粒に存在する酵素により生じる可能性を示唆するものと考えられる。その酵素としての性状はシステインプロテア-ゼであると考えられるが更に今後の検討を要する。
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