研究概要 |
1.T細胞にEBウイルス(EBV)感染の存在を見いだした慢性活動性EBV感染症患児の末梢血からのEBV感染T細胞株の樹立は種々の方法で試みたが現時点では全て不成功であった。しかし発症3ヵ月後の末梢血より得られたDNAを用いてEBV-DNAの解析、更に4ヵ月後のリンパ節、1年6ヵ月後の間質性肺炎の生検組織より得られたDNAを用いてEBV-terminal regionsの解析、肺についてはT細胞レセプタ-遺伝子の再編成も解析した。 制限酵素BamH1処理で患児のDNAはpM-Bam H2(Aタイプ)と強くハイブリダイズし、pJ-HKA7(Bタイプ)とはハイブリダイズしなかった。従って本症患児のEBVはタイプAと考えられた。またBamH1-K,H,E,B1のいずれとも強くハイブリダイズし、EBNA-1をコ-ドするBamH1-K領域、EBNAー2をコ-ドするBamH1ーH領域、EBNAー3をコ-ドするBamH1ーK領域、B95-8細胞株でみられる欠損領域BamH1-B1はいずれも存在すること、即ち感染EBVには明らかな欠損部位は存在しないこといが示唆された。次いでEBV遺伝子の右terminal repeats(TR)を含むEcoRI Dhetをプロ-ベとし、制限酵素EcoRIを用いてサザンブロットを行なったところ患児の末梢血単核細胞、リンパ節、肺のいずれのDNAも同一部位に単一バンドとして検出された。肺生検組織からはT細胞レセプタ-遺伝子の再編成が認められた。即ち本症ではモノクロ-ナルなEBV感染が発現されていることが明らかになった。 2.抗ウイルス剤としてAcyclovir、免疫賦活剤のしてrecombinant IL-2、抗炎症剤としてプレドニンを用いた治療を行ないNKH1陽性細胞の増加、NK活性の増加、LAK活性の発現を認め患児は寛快状態にある。このような治療法の組み合わせは部分的な寛快を誘導することが示唆された。
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