研究概要 |
白血球膜糖蛋白質であるCD11(a,b,c)/CD18は白血球粘着を強化する機能を有する蛋白質フォミリ-であり、その先天的欠損は重症感染などの免疫不全の病態を呈する。我々は先にCD11/CD18欠損症患者多核白血球(PMN)の1gGFcVセプタ-(FcR)の異常発現を認めた。一般にFcRにはFcRI,FcRII,FcRIIIの3種があり、PMNではFcRIIとFcRIIIが発現されている。所がCD11/CD18欠損症では、FcRII,FcRIIIに加えてFcRIも発現されていることが特異的モノクロ-ナルに抗体(mAb)の結合およびマウス(m)1gG2a感作半赤血球(SRBC)刺戟による化学発光(CL)とによって確認された。この様な異常なFcRIのPMNでの発現の解析を目的で検索を行い、次の結果を得た。1)不活化状態の患者PMNの^<51>Crラベルm1gG2a-SRBC貧食能の亢進があり、これは単量体1gG(ヒト)によって阻害されることから、この貧食亢進はFcRIを介することが判明した。2)FcRIに対する特異的mAbのF(ab^,)_2を患者PMNに結合させるのみではなくCL産生を認めないが、抗mlgG体で架橋形成を行うと明らかなCL産生が認められた。3)mlgG2aの結合はFcRIのみならずFcRIIIで認められる。しかし、PlP特異的フォスフォリパ-ゼ処理はFcRIIIを切断、除去するが、患者PMNのmlgG2a-SRBC結合によるCL産生は影響をうけなかった。4)FcRIIIはキモトリプシン感受性であるが患者PMNのm/gG2a結合は影響うけなかった。5)単球のFcR発現は患者と正常で差はなかった。6)正常PMNはガンマインタフェロン(r-IFN)刺戟(培養)でFcRIを発現するが、患者でのr-IFN産生能は著明に低下しており、r-IFNとの関連は否定的であった。PMNのFcRI発現のメカニズムの解明は今後の興味の深い課題である。
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