研究概要 |
1.慢性内芽腫症の大半に欠除しているシトクロムb_<558>の大鎖に対するcDNAをλファ-ジに組み込んで,この遺伝子を発現していないヒト線維芽細胞を患者細胞のモデルとして,レ-ザ式セルプロセッサで導入した。ただし導入の確率が0.1%以下と極めて低く,技術的に多くの問題を解決すべきであることが明らかとなった。その中には,(1)レシピアント細胞の安定した無菌的接着方法^*と,その器具の開発,(2)注入時レ-ザ光の光径の適性化,(3)コンピュ-タによる画像解析の精度を上げて,自動注入の高速化をはかることなどが考えられた。 2.導入遺伝子の発現を高い確率で検出するために,免疫細胞化学染色でシトクロムb_<558>大鎖および小鎖の発色法を開発した。その際細胞内局在とその存在様式をも一部明らかにしつつある。それぞれのオリゴペプチドに対する抗体2種が分離でき,大鎖・小鎖共に,抗体濃度1〜2μg/mlで検出可能である。小鎖に関しては,モノクロ-ナル抗体705,449を用いて高感度検出が,フロ-サイトメトリ-,蛍光顕微鏡で可能となった。 3.原因不明の小児感染症の好中球に欠損すると思われた蛋白質を二次元電気泳動で検索した結果,正常群でも欠損している例があり,患者特有の欠損ではないことが示された。今後は,他の方法で異常の本態を追求する必要がある。 ^*器具の工夫と,実用新案申請予定(日立)
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