研究課題/領域番号 |
01570532
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
菊池 清 島根医科大学, 医学部, 助手 (20161416)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1989年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 心房性ナトリウム利尿ホルモン / バゾプレッシン / 臍帯血液 / 新生児 / 肺高血圧 / モノクロタリン / 心臓 |
研究概要 |
1.臨床的研究:(1)経膣分娩児の臍帯動脈血液中心房性ナトリウム利尿ポリペプチド(ANP)濃度は高値であり、この濃度が臍帯動脈血液中バゾプレッシン濃度と正相関することを明らかにした。径膣分娩児では、分娩ストレス時に重要臓器への血流を維持するために、バゾプレッシンの分泌が亢進することが認められている。血管拡張・利尿作用のあるANPはバゾプレッシンに拮抗して、血圧・体液の恒常性を維持していると考えられる。(2)生後5日目までの新生児の抹消静脈血液中ANP濃度は高値であるが、この時ANP値がヘマトリック値と逆相関することを明らかにした。このことはANPが新生児期の体液調節に重要な働きを持っていることを示唆している。 2.モノクロタリン誘発の実験的肺高血圧ラットにおける、ANP合成・分泌機序及び治療薬としての有効性の検討:一週間毎に心臓内圧、血液及び組織中ANP濃度、心筋重量等を測定した。右心系の心臓内圧の上昇に伴い、右心房・右心室は肥大し、血液中ANP濃度が上昇した。正常ラットの心臓ではANPは心房組織中に高濃度存在し、心室組織中には検出されない。しかし、この実験的肺高血圧ラットにおいては右心房組織中ANP濃度が著しく低下し、右心室組織中にANPが検出された。一方、圧心系には変化が認められなかった。これらのことは、(1)心臓内圧の上昇がANPの合成・分泌刺激となりうる、(2)心室の心筋組織もANPを合成する潜在能力をもっている、(3)ANPが肺高血圧の治療薬になり得る可能性があることを示唆している。次にこの肺高血圧ラットにANPを投与したが、右心系心臓内圧の低下及び尿量の増加は認められなかった。ANP高値の状態ではダウンレギュレ-ション等により受容体の感受性低下が起っているのかもしれない。
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