研究分担者 |
河田 正明 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30177703)
黒沢 博身 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (50075511)
今井 康晴 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30075246)
今村 伸一郎 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00176497)
高尾 篤良 東京女子医科大学, 医学部, 名誉教授 (70075167)
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研究概要 |
心筋の収縮に関与する重要な蛋白の1つであるミオシン重鎖(MHC)遺伝子には,αおよびβの2種類が存在し,これに相当するアイソザイムとしてV1(αα),V2(αβ),V3(ββ)の3種類の存在が知られている.我々はこの遺伝子が,発達,ホルモン,薬物,心臓圧負荷等により変化することを動物実験にて確認してきた.また,これらの因子によるMHC遺伝子発現は,蛋白レベルに先行して起こることが確認されている.これらの成果に基づき,本研究ではヒト心筋MHC遺伝子発現ならびにアイソザイムの動態を知る方法を確立し,心臓疾患の病因ならびに病状の変化を早期に把握する道を開く目的で,SIヌクレア-ゼマッピング法(SIマッピング法)ならびにピロリン酸アクリルアミドゲル電気泳動法(ピロリン酸ゲル電気泳動法)の臨床応用への有用性について検討した. 新しく作成したヒトの心筋MHCオリゴヌクレオチドをプロ-ブとし,ヒト心筋生検標本を用いてSIマッピング法によるmRNA遺伝子発現の検索を行ったところ,非常に正確な検索が行えることが確認され,また,心筋生検時に得られる約50mgという少量の標本から,mRNAの検索が十分に行えることも確認された.一方,ピロリン酸ゲル電気泳動法では,ゲルの組成を再検討することにより,ヒト本筋MHCアイソザイムの電気泳動による分離に初めて成功した.また,この方法はSIマッピング法よりさらに少量(5mg)の標本での検索が可能であることも確認された. これらの実験結果を臨床の場で活用することにより,心臓病の病態の程度,進行状況等を把握するための大きな指標とすることができる.即ち,SIマッピング法またはピロリン酸ゲル電気泳動法を臨床応用することにより,遺伝子または蛋白レベルでの検索が可能となる.特にピロリン酸ゲル電気泳動法による検索は,標本量が極めて少量(5mg)で検索できるため,臨床での活用が大いに期待される.
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