研究概要 |
1)和漢薬の脂腺の脂質合成におけるtestosteroneの影響を見るために、予備実験として男性ホルモン阻害剤であるoxendoloneを投与して脂質合成を検討した。シリアンゴ-ルデンハムスタ-の耳介より皮膚を採取し、^<14>C-アセテ-ト0.4μCi/mlを含む培養液,さらにそれに0.1%oxendoloneを含む培養液で6時間培養し,真皮のみからFolch法で脂質を抽出した。その抽出液を液シンを用いて放射活性を測定した。oxendoloneを入れた群といれなかった群では,放射活性において両群で有意な差は認められなかった。この実験からは試料採取前に存在していたtestosteroneの脂腺細胞への取り込み阻害,5α-reductaseの活性阻害,5α-dihydrotestosteroneとreceptorとの結合阻止などには影響を与えなかったと考えられる。これは1つにはoxendoloneが低濃度であった可能性もあるが,^<14>C-アセテ-ト取り込みによる脂質代謝の系には影響を与えなかったとも考えられる。現在ホルモン依存性の脂質代謝のよりよいマ-カ-を検討中である。2)Propionibacterium acnesリパ-ゼ活性測定のためガスクロマトグラフィを用い,0.5%(0.017meq/ml)量を含め各種濃度添加PYG培地にてエ-テル抽出される酪酸産生量を測定した。その結果,トリブチリン添加濃度が0.017meq/mlまでは,酪酸産生量はdose dependentに増加した。又,0.017meq/mlトリブチリン添加PYG培地における酪酸産生量は,0.048meq/ml±0.017meq/mlであった。さらに,漢方薬(黄連)を添加した場合,その濃度が高い程,酪酸産生量,プロピオン酸産生量の減少がみられ,その減少程度は常にプロピオン酸の方が強かった。以上から,同測定法は,和漢薬,抗生物質のP.acnesに対する抗リパ-ゼ作用の検定に応用でき画期的であるといえる。さらに,黄連のP.acnesに対する抗リパ-ゼ作用は抗菌作用を通じての二次的作用と考えられた。
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