研究概要 |
1.天疱瘡抗体投与による培養表皮ケラチノサイトおよび新生児マウス皮膚におけるUrokinase(uPA)mRNAの上昇:1.8mMCa^<2+>添加培養液中にて培養したヒト表皮ケラチノサイトの培養液に天疱瘡患者血漿より精製したIgG(天疱瘡抗体)を添加し,一定時間培養した後,表皮細胞のRNAを抽出し,Northern blot法にてuPAmRNAの変動を検討した。8mg/mlの尋常性天疱瘡患者および正常人由来のIgGを加え,時間経過による変動を検討した所,3時間目で尋常性天疱瘡患者IgGにより著明なuPAmRNAの上昇が認められた。次に,この上昇が天疱瘡抗体IgG濃度依存性を検討した。2名の患者り得たIgGをそれぞれ4mg/mlおよび8mg/mlまで加えたところ,濃度を増加するにつれてuPA mRNAが増加し,最高濃度でコントロ-ルに比べ,約2.5倍及び4.5倍の増加を示した。この時,Actin mRNAは変動せず,尋常性天疱瘡抗体によるヒト表皮ケラチノサイトにおけるuPA活性の上昇はuPAmRNAの増加を伴うことが確認された。新生児マウスの表皮より,Total RNAを分離し,Northern blotによりmouse urokinase mRNAの同定を行なった所,新生児マウス一匹分の表皮より同定が可能であった。 2.uPAのインヒビタ-であるPAIー1による天疱瘡新生児マウスモデルにおける水疱形成阻止:TGFーβを添加したヒト表皮ケラチノサイトの培養上清よりPAIー1の精製を行なった。2リットルより,約500μgのPAIー1を得た。SDSによる活性化を試みたところ,阻止活性が1/(10)程度に低下した。このため,当初予定した,新生児マウスモデルの実験は行なえなかった。 3.PAM Cellの培養上清より,mouse uPAを精製し,抗mouse uPA抗体の精製を行なった。
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