研究概要 |
平成元年度の研究において,ヒト表皮の糖脂質を抽出,精製し,その主成分であるAcylglucosylceramideすなわちEpidermosideの分析を行なった。その結果,Epidermosideは1分子のグルコ-ヌ,1分子の長鎖塩基,1分子の酸アミド結合脂肪酸および1分子のエステル結合脂肪酸で構成され,その長鎖塩基はスフィンゴシンであり,エステル結合脂肪酸はリノ-ル酸から成ることがわかった。 さらに平成2年度の研究では,GCーMSによる分析の結果,酸アミド結合脂肪酸は炭素数が30前後のωーヒドロキシ脂肪酸であることがわかった。また長鎖塩基はスフィンゴシンの他にフィトスフィンゴシンを含有することが同定された。このフィトスフィンゴシンを有する表皮のAcylglucosylceramideはこれまでに報告がなくヒトに特有な糖脂質と考えられた。 NMRを用い,クノ-ル酸のエステル結合部位を同定した。その結果リノ-ル酸はωーヒドロキシ指脂酸のωー末端にエステル結合することがわかった。 Epidermosideはヒト表皮に特有な構造を持つ糖脂質であり、構造的に脆弱であると考えられた。今後,このEpidermosideの特異な構造と皮膚における機能との関連を検討することが研究課題である。
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