研究概要 |
摩擦黒皮症(friction melanosis)の臨床像は骨の直上部とともに,ナイロンタオルなどで摩擦を受ける部分にも,びまん性,網目状の褐色色素沈着がみられ,臨床像にも幅のあることが明らかとなった。病理組識学的,組織化学的所見では,表皮基底層のメラニン顆粒の増加と真皮上層に多数のメラノファ-ジを認めるが、細胞浸潤は軽度である。アミロイド染色ではアミロイド沈着例も出現することが認められた。この表皮内メラニン顆粒〔電顕レベルではメラノソ-ム〕の真皮への滴落は,何らかの原因による表皮基底層の液状変性に基づク色素失調である,真皮性メラノソ-ム沈着症に相当する。斑状アミロイド-シスの皮疹は主として背部にみられ,そのほか頚部,四肢,膝などに及んでいる。臨床像は褐色から黒褐色のびまん性色素斑がさざ波状を呈し,摩擦黒皮症の臨床像に類似している。斑状アミロイド-シスの病態は,病理組織学的,組織化学的に真皮乳頭にアミロイドが沈着し,その直上の基底層ではメラニン顆粒は減少するとともにレラノサイトも減少し,真皮への色素失調も認められた。この色素失調を来す機序として,電顕的に真皮に産生された変性コラ-ゲン由来と考えられるアミロイドがhasal laminaを押し上げ,これがケラチノサイト及びメラノサイトを直接圧迫または栄養障害に陥いらせることにより,変性を促し,その結果,真皮にメラニン顆粒及びメラニン顆粒をもつた変性ケラチノサイトの滴落が起こり,マクロファ-ジ及び矛維芽細胞にメラニン顆粒が取り込まれて色素異常が起こるものと考えられた。斑状アミロイド-シスは原発性及膚アミロイド-シスに含まれるが、誘因として外的因子などが考えられる症例には,続発性の可能性が強く示唆され,皮膚アミロイド-シスの分類も再検討する必要が考えられる。摩擦黒皮症のような色素沈着症は現時点ではアミロイド-シスと一応,別症といて,さらに検討していきたい。
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