研究分担者 |
峰咲 幸哲 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40229779)
横井 清 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70182681)
石田 卓 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90159731)
新村 眞人 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00010190)
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研究概要 |
ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)は,ヒトの表皮細胞のみに感染し,その角化とともにウィルス粒子の増殖が起こる.角化細胞がウィルスの感染増殖を規定し,ウィルス遺伝子が表皮細胞の変化をもたらしていることが容易に考えられるが,どのような因子が相互に働いているのかは未だ明らかにされていない.従って,これらの機構を明らかにしていくことを目的とした. 初めにHPVー1感染(ミルメシア)およびHPVー6感染(尖圭コンジロ-ム)におけるHPV遺伝子群のmRNAの局在について検索を行った.ウイルス構成蛋白に関与する後期遺伝子群は有棘層下層または中層より顆粒層にいたるまでの細胞の細胞質内に認められ,しかもウイルス蛋白が検出される以前の細胞からその局在が認められた.一方細胞のtransformやウイルスDNAの複製に関与する遺伝子である初期遺伝子群は基底細胞より観察できたが,有棘層ではそのmRNAの量は後期遺伝子群に比し非常に少なかった.以上の結果よりウイルス粒子の産生には表皮細胞の角化への分化が必要であることがこの実験結果より推測できた.また,正常の角化が起こらない表皮細胞の培養系ではどのようになるのかをミルメシアの培養を行い,各遺伝子の発現を観測したところ,培養開始1カ月後においても電顕的または免疫組織化学的にもウイルス粒子は証明されず,またミルメシアの特徴となる好酸性顆粒も検出できなかった.さらに各遺伝子群のmRNAの局在を調べたところ初期遺伝子群は検出されたにもかかわらず,やはり後期遺伝子群は培養開始1カ月後においても検出できなかった.また,癌抑制遺伝子であるp53の変異や発現異常の有無をも検索したが,正常皮膚と変わりなかった.今後,表皮細胞核抽出物を用い,サウスウエスタン法やゲルシフトアッセイ法で,HPV遺伝子プロモ-タ-に作用する表皮由来蛋白の同定を行いたいと考えてる.
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