研究課題/領域番号 |
01570604
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 健 大阪大学, 医学部, 教授 (70028455)
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研究分担者 |
播口 之朗 大阪大学, 医学部, 助教授 (10028459)
多田 國利 大阪大学, 医学部, 講師 (80135681)
武田 雅俊 大阪大学, 医学部, 助手 (00179649)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 慢性脳血流低下モデル / 砂ネズミ / 脳室拡大 / 神経細胞脱落 / グリオ-ジス / MAP2 / tau / 200Kneurofilament |
研究概要 |
われわれは以前に砂ネズミを用いて、慢性脳血流低下モデルを作製した。今年度は同モデルの狭窄3ケ月後のものについて実験を行い、以下の結果を得た。(1)大脳皮質の血流量を水素クリアランス法を用いて測定したところ、狭窄群は対照群の65〜75%に低下していた。(2)われわれが開発した自動動物観察装置OUCEMー86を用いて行動学的検討を行った結果、狭窄群は対照群に対し、学習の獲得という点で障害があることが示された。記憶の保持に関しては両群に有意の差は認められなかった。(3)光顕、電顕により病理組織学的検討を行った結果、狭窄群の一部において明らかに異常が認められた。つまり、脳室の拡大、皮質の菲薄化、白質の粗鬆化が認められ、光顕では、海馬CA1領域の神経細胞脱落、大脳皮質の小軟化巣、視床の神経細胞脱落とグリオ-ジスが認められた。電顕では、一部の大脳皮質において、グリア繊維の増生、樹状突起の膨化と変性などがみられ、白質においてもグリア線維の増生、神経突起の変性がみられた。これらの変化は、これまで知られている一温性脳虚血による組織変化とは、とくにその多様性という点において異っていた。(4)脳の細胞骨格蛋白の変化を生化学的に検討を行った結果、抗MAP2抗体を用いたimmunoblottingでは、狭窄群の前頭葉皮質、線条体において、MAP2の分解産物と思われるバンドが認められた。抗tau抗体によるimmunoblottingにおいても、tauの分解産物と思われるバンドが狭窄群において対照群のそれより濃く染め出された。抗200Kneurofilament抗体による同様の検討では、200K蛋白の免疫染色の程度が、狭窄群において明らかにより濃く染め出された。抗GFAP抗体による検討においても、狭窄群の中に、染色性が著しく上昇するものが認められた。以上の結果から、慢性的な脳血流低下によって、学習能力の障害、脳組織障害、細胞骨格蛋白質の変化などが出現する可能性が示唆された。
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