研究課題/領域番号 |
01570649
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
年森 啓隆 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (60172160)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1990年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1989年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 心房性ナトリウム利尿ホルモン / 心室細胞 / 刺激伝導系 / 高血圧症 / 脳卒中易発症高血圧ラット / 免疫組織学 / atrial natriuretic polypeptide / ventricular cardiocyte / impulse conduction / hypertension / Spontaneously Hypertensive rat Stroke Prone / immunohistochemistry / atrial cardiocyte / atrial specific granule / spontaneously hypertensive rat stroke-prone / rat / chicken |
研究概要 |
心室細胞について心房性ナトリウム利尿ホルモン(ANP)を分泌する内分泌細胞としての見地から検討した。哺乳類の心筋細胞の心房筋特殊顆粒(ANP 貯蔵分泌顆粒)は、心房筋細胞のみならず心室筋細胞にも存在した。これはラットとヒトの心室組織で ANPmRNAを northern blot analysis にて証明した成績に一致した。囓歯類の心室においては、通常のヘマトキシリンエオジン染色ではPurkinje fiberの同定が困難ではあるが、ANP抗体を用いた免疫染色では明瞭にその走行を描出し得た。同様の方法でブタの心室では、心内膜下のPurkinje IIfiberから分岐し心室壁内に侵入するPurkinje III fiberまで同定し、免疫電顕でANP貯蔵分泌顆粒を証明した。この成績とヒトANPmRNAが刺激伝導系の組織で通常心室筋細胞組織より多く証明された報告からANPと刺激伝導系との関連が示唆された。刺激伝導系の免疫組織学的染色は囓歯類(ラット,マウス)とブタ以上の哺乳類では必ずしも良好な染色が示されなかった。一方、非哺乳類で刺激伝導系の発達した鳥類でもPurkinje fiberをchicken ANPに対する抗体で同様に染色することができた。その他の脊椎動物(ハ虫類、両生類、魚類、円口類)では、刺激伝導系に相当する細胞群は認めなかった。 また、ラットと鳥類の心室壁の免疫組織学的染色で細動脈周囲のANP陽性細胞群を観察した。これらの細胞はPurkinje type II fiberや鳥類の血管周囲に特徴的に存在する Purkinje fiber とも形態学的に異なり、心内膜下の Purkinje II fiberとの連続性も持たなかった。発生学的にはラット新生仔心室壁でもこのような細胞群を同定し得た。動脈と ANP分泌細胞との局所での相互関係が示唆された。 Spontaneously Hypertensive rat Stroke Prone(SHRSP)で著明な左心室肥大を呈し心室のANPmRNA増加量は心房の増加量をはるかに凌ぐことがわかっている。ANP 陽性細胞は刺激伝導系や血管周囲に関係なくこの肥大した左心室壁にも広く認められた。SHRSP 左心室壁のANP content、ANPmRNAの増加はこれらの細胞群に由来し、これらの細胞群が高血圧状態や心不全時に水電解質バランスに係り主に対応する内分泌器官としてのANP sourceの役割を果していると考えられた。その分泌様式は免疫電顕的にはconstitutive secretionが考えられた。ヒト心室細胞内にANP、BNP 抗体陽性のアミロイド様物質の沈着を認めペプチドの分泌障害が示唆された。老化の見地から検討中である
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