研究概要 |
1.[Blast-1(BL-1)抗原の多型性に関する基礎的検討]血縁関係の無い正常日本人170名、正常白人26名および正常7家系の両親および子供の末梢血白血球よりDNAを抽出精製した。DNAを制限酵素で切断し、サザントランスファ-を行い、Blast-1cDNAとハイブリダイゼイションを行い、Blast-1抗原の遺伝子型を決定した。遺伝子型は2種類認められ、2.4 kilobase(kb)のDNA切断片をL,1.9kbのDNA切断片をSと命名した。日本人および白人の正常人はL-L,L-S,S-Sの3型に分類された。日本人における頻度は各々0.47,0.42,0.11で、白人における頻度は各々0.69,0.27,0.04で、日本人と白人では頻度に有意差を認めた。家族の調査よりBlast-1遺伝子はメンデルの法則に従って遺伝すると推定された。以上より、Blast-1抗原が移植抗原としてはたらく場合、S-S型においては自己と同一の型を有する者の発見はやや困難である。 2.[Blast-1(BL-1)抗原の多型性に関する臨床的検討](1)日本人の悪性腫瘍および自己免疫疾患患者280名の末梢血白血球よりDNAを抽出精製し、上記の方法でBlast-1抗原の遺伝子型を決定した。遺伝子型は、正常人同様に2種類、2.4kb,1.9kbが認められ、上記疾患では、Blast-1遺伝子の異常は認められなかった。(2)骨髄移植を施行された急性および慢性骨髄性白血病患者とドナ-のBlast-1抗原の遺伝子型を決定した。遺伝子型は、2種類、2.4kb,1.9kbが認められた。HLA抗原の一致した兄弟より移植を受け、且つ完全寛解症例では、患者およびドナ-のBlast-1抗原型は一致し、L-S型であった。 3.[今後の計画]移植患者およびドナ-のBlast-1抗原型の一致および不一致例の移植成績をさらに集積し、Blast-1抗原の移植における関与を研究する。
|