研究課題/領域番号 |
01570682
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
北 堅吉 三重大学, 医学部付属病院, 講師 (90169847)
|
研究分担者 |
大野 敏之 三重大学, 医学部付属病院, 助手 (50194246)
片山 直之 三重大学, 医学部, 助手 (20185812)
白川 茂 三重大学, 医学部, 教授 (20026850)
|
研究期間 (年度) |
1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | 急性リンパ芽球性白血病 / 加齢 / 表現型 / リンパ球系抗原 / 骨髄球系抗原 / 遺伝子型 / Philadelphia染色体 |
研究概要 |
本研究は成人造血器腫瘍の発生、病態形成を、加齢による急性リンパ芽球性白血病(ALL)形質変化の視点から解明することを目的とした。 [白血病形質]対象は20才以上で発症したALL87例(20ー86才)で、B前駆細胞性ALL65例、T前駆細胞性ALL14例、B、T抗原共に陽性4例、その他4例。骨髄球系抗原(MyーAg;CD13、CD33)は30例で陽性。B前駆細胞性ALL全例でIg遺伝子再構成。B前駆細胞性ALL7例で多クロ-ン性IgH遺伝子再構成。CD20陽性例にIgとTCR遺伝子の二重遺伝子型が高頻度に存在(>70%)。T前駆細胞性ALLではCD2(+)4例にのみTCR遺伝子の再構成。13例でPhl染色体異常陽性、2例でbcr遺伝子再構成。 [加齢と白血病形質との関係]B前駆細胞性ALLは全年代で発生したが、高齢者ほど分化した形質(CD20)が陽性であった。(40才未満8/18(44%)、40才以上21/26例(81%))。30才以降発症T前駆細胞性ALL(7例)は、30ー40代が4例でCD7抗原のみ陽性、3例でMyーAg陽性であった。T,B,MyーAg陽性例は4例で20、30才代各1例、40才代2例であった。MyーAgは30ー40才代発症例でB、T問わず高頻度に陽性であった。(17/35;49%)。PhL異常は40才以上に高頻度(11/13)に認められた。多クロ-ン性IgH遺伝子再構成7例中5例は40才以上で、4例がPhl陽性であった。 [研究実績のまとめと今後の課題]成人ALLの形質は発症年代により各系統分化抗原発現が異なっていた。MyーAgは20ー40才代ALLで高頻度であり、小児ALLでも乳幼児例と類似しており多潜能幹細胞の形質を強く反映していると考えられる。この年代でphl陽性例が好発することはこのことを支持する。このように、加齢による正常造血幹細胞の変遷がその腫瘍化標的細胞あるは腫瘍化後の白血病形質に影響していることを示唆する成果が得られた。今後は病態との関連を明確化し、成人ALLの各年代に対応した適切な臨床診断及び治療法確立が課題である。
|