研究分担者 |
須郷 貴和 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
宮城島 堅 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (60221610)
大山 仁 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
袴田 健一 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
盛岡 元一郎 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
福島 紀雅 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
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研究概要 |
平成3年度は部分肝移植において,グラフトとして用いる必要最低限の肝容量の決定ならびに潅流障害の検討に主眼点がおかれた。この問題は,部分肝移植が成人・小児間では安全に行われているが,成人・成人間の場合にも応用可能か否かに大きな示唆を与えるものである。 これまでのイヌを用いた成績では,肝左外側葉および左外側葉(肝容量として45%をグラフトとした場合,潅流実験および移植実験でも長期生存し得ることが確認されている。そこで左外側葉(30%)のみを残存させた潅流実験および生存実験を試み,以下の成績を得た。 1)左外側葉のみを残存させた70%肝切除群では10頭全例生存した。 2)1)の肝切除後潅流負荷を加えた群では15頭中9頭が長期生存したが,4頭が肝不全で3週間以内に死亡したことから,肝容量のcritical volumeは潅流肝で30%と考えられた。 3)潅流障害についてみると,潅流群9頭中8頭で術後7日から14日目にGOT,GPTの悪化が認められ,臨床上拒絶反応との鑑別が必要であると思われた。他の肝機能には著変は認められなかった。 4)組織学的検査では,術後2週間目で潅流障害を反映する類洞の破壊や中心静脈周囲の壊死および細胞浸潤が認められたが,4週間目には改善していた。 以上の実験と併行してイヌを用いた実験肝硬変作成も行った。方法として99.5%エタノ-ルを胆嚢管より注入,全胆管上皮をアルコ-ル固定した。その結果,経時的肝生検により胆管周囲の線維化,グリソン鞘周囲の慢性炎症さらには門脈ー門脈架橋形成,偽胆管様構造の増生と偽小葉化など肝硬変の組織像が観察された。簡便な方法による実験的肝硬変犬の作成は,今後部分肝移植実験に極めて利用価値が高いと思われた。 尚,豚は入手方法や価格の面より問題があり少数例のみ使用した。
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