研究概要 |
肝切除ラットモデルを作成し、肝大量切除時における外因性脂質の利用とそれに対する内因性カルニチンの動態、カルニチン投与の影響について実験的研究を行った。 [方法]70%肝切除ラットに72時間TPNを行った。ブドウ糖とアミノ酸投与群をI群、エネルギ-比で20%脂肪乳剤に置き換えた群をII群、40%脂質群を 群とし、さらにII、III群にLーカルニチン250mg/kgを加えた群をそれぞれIIC群、IIIC群とした。各群について、各栄養指標、肝機能、窒素平衡、血中尿中組識中のカルニチン、血中ケトン体を測定、^<14>Cパルミチン酸を用いて^<14>CO_2呼気中排泄率から脂質代謝率を測定した。[結果]水分出納、血糖、血清蛋白アルブミン値には各群間で差は無く、III群でもトランスアミナ-ゼ等肝機能異常は認めなかった。血清脂質ではIII群はFFAの上昇を認めたが、IIIC群では低下した。血奨中遊離カルニチン値では、I群,64.2±2.0、II群,55.1±18.3、III群,45.4±12.8と脂質の投与により低下を示した。72時間累積窒素出納は群で低下したがC群で改善を示した。各群における脂質代謝率は前年度測定した。血中総ケトン体は、I群,73.9±29.0、II群,139.4±5.0、III群,211.3±16.4と脂質投与によって増加を示したが、IIC群,112.0±3.0、IIIC群,104.5±15.0とカルニチン投与により低下が認められ、カルニチンの投与がケトン体代謝にも影響を及ぼす興味ある結果が得られた。残存肝の組識像では、I群で瀰漫性に脂肪空泡の形成が認められたが群ではむしろ空泡形成はほとんどみられなかった。III群では限局して空泡が存在したが、IIIC群では減少していた。いずれの群においても、カロリ-の過剰投与による脾臓内脂肪沈着は生じなかった。以上のことから、肝大量切除ラットにおける脂質投与時のカルニチン補充は残存肝における脂質代謝を促進するものと考えられる。
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