研究概要 |
乳房単純X線で微細石灰化像の見られた乳癌症例22例の組織標本を用い、赤外顕微鏡により石灰化部分の成分分析をおこなった。うち、9例に石灰化の成分分析が可能であった。分析をおこなった乳癌の組織型は乳頭腺管癌6例、充実腺管癌1例、硬癌2例である。 1.石灰化成分の分析 (1)乳癌組織の石灰化の部分では(1)874cm^<-I>,0.135K/M、(2)605cm^<-I>,0.395K/Mで赤外吸収のpeakがみられた。これは炭酸カルシュウム、燐酸カルシュウムに相当した。 (2)peakレベルは炭酸カルシュウムが高く、次いで燐酸カルシュウムのであった。両者の比率は乳癌組織により異なっていた。 2.病理組織との対比 石灰化の多い乳頭腺管癌で石灰化成分分析が可能であった。病理組織上の石灰化のみとめられる部分と顕微赤外法によりカルシュウムが検出される部分とは必ずしも一致しなかった。組織上の石灰化と思われる部分は蛋白質アミドも多く含まれていた。 3.非癌組織の石灰化分析 乳癌周囲にみられた石灰化の分析でも炭酸カルシュウム、燐酸カルシュウムがみとめられた。
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