研究課題/領域番号 |
01570732
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
森田 隆幸 弘前大学, 医学部, 助手 (30167689)
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研究分担者 |
松浦 和博 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
中村 文彦 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
林 健一 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1991年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1990年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1989年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 大腸壁内神経 / 自律神経の変性 / 自律神経の再生 / 消化管壁内神経 |
研究概要 |
悪性疾患の多い消化管手術ではリンパ節郭清操作などにより外来神経は切除されることが多いが、その場合、denervateされた再建腸管がどのような異常運動を引き起こすのか、また、外来神経が切除された腸管では壁内神経にどのような形態的変化が生じるのかは殆ど解明されていなかった。そこで、臨床例において直腸癌に対し低位前方切除術を行なった症例を対象に腸管内圧測定と放射線非透過マ-カ-を用いたtransit studyを行ない、再建腸管のどの部位に、どの程度の異常が発現しているのかを検討した。その結果、内圧測定では吻合部より口側の腸管に不規則でかつ有意に高い最大圧、静止圧を伴う異常収縮波が出現した。また、transit studyでは検索した症例の85%ではマ-カ-の輸送は健常人に比べて遅延しており、特に吻合部より口側の左側結腸にマ-カ-が停滞する傾向が明らかとなった。これらの結果より、低位前方切除術後には吻合部より口側の再建腸管に異常な運動が出現していることが示唆された。次に、実験動物を用いて腸管に分布する外来神経の切除および腸管の切離・吻合操作によって大腸壁在神経にどのような形態的変化が出現するのかを観察した。腰部結腸神経(交感神経)または骨盤神経叢から分枝する直腸枝(副交感神経)を切除すると、筋層内の平滑筋細胞の間に介在する無髄神経や筋間神経叢の中の神経節細胞の周囲の軸索終末に軸索の変性所見が出現した。特に、副交感神経切除後には知覚系に関与する有髄神経の変性が高度にみられた。また、腸管の切離・吻合を行なうと筋間神経叢の中の神経の変性所見はより高度であった。一方、再生神経線維の出現をみると、術後3ヵ月目頃より直径の小さな再生軸索が観察されるようになった。しかし、術後6ヵ月めでも再生軸索の密度は低く、軸索の径も小さかった。これらの所見から、外来神経の損傷を受けた再建腸管の壁内自律神経系の機能的再生が完成するまでには、それ以上の期間を要するものと思われた。
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