研究概要 |
1.von Willebrand(vW)因子の各種機能ドメインの性状分析および、抗vWモノクローナル抗体(MAb)の作成とその性状分析を行った。 A.第VIII因子結合ドメインについて:第VIII因子結合ドメインの存在するp-34(t-34)フラグメント(アミノ酸残基1-298(273))を純化vW因子をトリプシン消化子,DEAE,ヘパリンカラムで純化精製した。p-34を共同研究しているフランスINSERM 143D.Meyer教授へ送り、MAbの作成を行った。そして,新たに4種のMAbを得た。現在その性状を分析中である。 B.血小板膜蛋白Ib(GPIb)結合ドメインについて:既に作成された2種のMAb(NMC/vW4(奈良医大),322(フランス))の性状を検索し,今まで同一視しされていた2つのGPIbのモジュレーターで抗生物質リストセチンおよび蛇毒の成分ボトロセチンでその抑制作用の違いを明らかにした。またvW因子のGPIb結合を抑制する色素Aurin tricarboxylic acid(ATA)の作用機序を明らかにした。同時にin vivoに近い血液還流実験でのATAの血栓抑制作用を明らかにした。 C.ヒトコラゲン線維結合ドメインについて:新たにvW因子のコラゲン結合を抑制するMAb(NMC/vW3)を見いだし,そのvW因子サブユニット上のエピトープがアミノ酸残基の911-1365に存在することを示した。現在,更にその部位の狭小化している。 II.von Willebrand病のvW因子の解析のため血漿vW因子の各種機能ドメインの性状を検索できる測定系の確立と血漿vW因子の蛋白解析法の開発を検討した。その結果,ヒトtypeIII fibrilarコラゲンを用いて少量の血漿を用いた分析法を開発しvW病各種病型でのその異常を明らかにした。又,同様に少量血漿を用いて血漿vW因子のサブユニット解析法を確立した。現在,さらに少量の血漿でのサブユニット内の異常解析法を検討中である。
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