研究課題/領域番号 |
01570760
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
宮崎 耕治 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (30159173)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1990年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1989年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 胆道癌 / 化学発癌 / 細胞培養 / DNA損傷 / 細胞回転 / In situ nick translation / ニックトランスレ-ション法 / 胆嚢上皮細胞培養 / コラ-ゲンマトリックス / ニックトランスレ-ション |
研究概要 |
胆道癌のハイリスクグル-プとして、胆石症、膵管胆管合流異常、胆道寄生虫症などがよく知られているが、その発癌機序は不明である。胆道系は肝臓で代謝された化学物質の排泄経路であり、化学発癌物質が摂取された場合、肝臓で活性化される可能性が高く、胆道粘膜は最初にその危険に晒される細胞である。しかし、一般には胆道癌の頻度は懸念される程には高くなく、その理由として、健常時には胆道での通過時間が速く、DNA損傷を惹起するに至らないことが推測される。ここで前述のハイリスクグル-プでは、その存在により胆汁のうっ滞がみられるため化学物質に暴露される時間は長くなり、一方胆汁うっ滞は胆道粘膜上皮細胞の変性、再生を引き起こし、細胞回転を増すことが予想される。我々は細胞回転の亢進自体もDNA損傷を増大させると考えており、この2点がハイリスクの原因であろうと仮説した。今回の検討で、細胞回転調節因子の検索は終了していないが、胆道粘膜上皮細胞に対し、EGFとリトコ-ル酸は細胞回転を有意に増大させることが証明され、これを用いて細胞回転を速くした状態で化学発癌物質を作用させると、明らかにDNA損傷(nick)も増加することを見出した。即ち、炎症によって胆道粘膜の細胞回転が亢進した状態で化学発癌物質が摂取ないしは生成され、胆汁うっ滞によって長時間作用すれば、その粘膜上皮細胞のDNAは通常に比し明らかに強く傷害され、発癌の危険性が増大すると考えられる。さらに女性ホルモンやコレステロ-ルが胆嚢粘膜上皮細胞の細胞回転を増大すれば、胆嚢癌における性差の理由やコレステロ-ル結石の関与も同様の機序で説明できる可能性があるが、現時点ではまだ明確な結果を得ていない。
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