研究分担者 |
山根 隆明 熊本大学, 医学部, 助手 (20210502)
酒本 喜与志 熊本大学, 医学部, 助手 (10162306)
守 且孝 熊本大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10040213)
中野 眞汎 熊本大学, 医学部附属病院, 教授 (40002125)
HIROTA Masahiko Kumamoto University. Medical School Resident Kumamoto University Hospital
広田 昌彦 熊本大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究概要 |
膵全摘術後には,血糖コントロ-ルの不安定化の他,高アミノ酸血症,高アンモニア血症,脂肪肝,高脂肪酸血症などアミノ酸,脂質代謝にも不全が生じる. これらの障害の一因としてグルカゴンの欠落が考えられるが,我々は膵全摘症例に対して試験的にインスリンとグルカゴンの併用投与を行い,糖質,アミノ酸,脂質の代謝に対する影響を解析した.またグリカゴンの血中半減期がきわめて短時間であるため,頻回投与が必要となるが,侵襲が少なく,頻回投与が可能な投与法をめざして点鼻薬の開発を行った. 解析の結果,膵全摘後の術後急性期にはグルカゴンを持続静注することにより血糖の安定化が達成でき充分なエネルギ-投与が可能であることが確認された. また,開腹期ー社会復帰期においてはグルカゴンの皮下投与によりアミノ酸,脂肪代謝が円滑化することが確認された.しかし,単回投与ではその効果は一過性であり,より作用持続時間の長い製剤あるいは患者の苦痛が少なく頻回投与可能な製剤として,グリカゴン点鼻薬を開発した.グリカゴンをリン酸緩衝液で溶解し,吸収促進剤として,カプリン酸ナトリウム(NaーCap),グリココ-ル酸ナトリウム(NaーGch),グリチルレニン酸(GAHSーNa_2),グリチルレニン酸誘導体GAーHPh,同GAーMHS,同DGーDHPh,同HomADーDHPhと7種類の経鼻薬を試作して,基礎的,臨床的検討を加えた結果,NaーCap加経鼻薬は刺激臭があるが,GAーHPh加経鼻薬は刺激臭は少なく,他の副作用もなく,グルカゴンの吸収も良好で,経鼻吸収促進剤として臨床応用が可能であり,膵全摘症例の開腹期ー社会復帰期の使用は血糖コントロ-ルや,高アンモニア血症,脂肪肝,高脂肪血症の予防に有用であった.
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